約束の時間を前に、僕は顔を照らすディスプレイの光の中でヘッドフォンの位置を何度も調節していた。 雑音など、一切入れたくない。 今から、華と二人だけの時間が始まるんだ。 静かな部屋。 ヘッドフォンに、 夜が手助けしてくれる。 数分経った頃、窓の外を見れば街の明かりはほとんどなくなっていた。 時計を見ては溜め息が出る。 イライラ? それも少しあるかもしれない。 華が、時間に遅れた。