《2》 雨が近いのか、少し重たく感じる風を体いっぱいに受け、コトブキへとバイクを走らせた。 軒先で揺れている、群青色の暖簾。 『お好み焼き』と白地で書かれたその暖簾の下には、可愛らしい狸の親子が客を迎えるように座っている。