ハンズ

病で自分の意志とは無関係に、零れていってしまう記憶。


その中で零れずに記憶に留まった事は、千尋にとったら全てが大切な宝物なんだろう。

嬉しそうに頬を上げる。


「もう、
随分と会ってないんだけどね。
だから、もしすれ違ってもその人がわたしの兄かどうか分かるかは自信が無いわ。」

おどけながらペロッと舌を出すと、千尋は立ち上がった。

「そろそろ、始まるよ。
行こう。」