ハンズ

「今朝、朝一で顔を見に行ったら、雅美君に会ったって話してくれてね。」


そう言うと、祥子さんはキュッと唇を引き締めた。

「この夏で、千尋ちゃん長野県にある病院に転院する事になってるのよ。

8年の間、千尋ちゃんは『雅美君』を覚えてた……
あなたが雅美君に間違われるのが嫌だというなら、素直に『巧』だって事を話してもらっても良いわ。


だけどもし、少しの間だけ雅美君に変わってもらえるなら…

雅美君ができなかった最後のお別れを、千尋ちゃんにしてあげて欲しいの。」