ハンズ

「千尋ちゃん、先天性の病気でね。
簡単に言ったら、ポケットに詰め込んだ記憶がドンドン零れ落ちちゃうって感じかな。」


あの時感じた、不思議な感覚を思い出す。

千尋の瞳。

きっと、兄貴だけを映していたんだ。



「今の医学ではこれ以上手を尽くせなくて。
近くのK大医大病院に入院してたんだけど、のんびり過ごせる環境にって、10年程前に転院してきたのよ。」