そんなピエロさんに
優しく座長さんは
言いました
「みんなの喜ぶ顔がみたいから芸をする事は 良い事じゃないか」
するとピエロさんは
うつむき
「いいえ、本当は、芸が苦しい時もあるし、本当は芸をしたくないと言うのに ムリに笑われていたり笑っている自分がいます。僕は、サーカスに来てくれている、みんなにウソをついているのです。」
そんな
うつむいている
ピエロさんの
肩をポンッと叩き
「それはウソとは 言わないよ。ピエロさんは、苦しい時も芸をしたくない時も我慢して一生懸命やってる。それに、ピエロさんの今、言ってる事はウソなのかい?私には、ピエロさんがウソを ついている様には思えない」
すると
ピエロさんは
座長さんの
優しい言葉に
目から
次から次へと
ポロポロと
こぼれ落ちる
涙を押さえ切れませんでした
「ピエロさん あなたは 芸の中では ピエロさんだけど 本当のピエロには、なれないよ。なぜなら 僕はウソもつけなければ 表情を作る事もできませんって顔に書いてあるからさ」

たくさん
涙をこぼした
ピエロさんの
顔のメイクはとれ 素直で正直な 顔がありました