「こんにちは~…」


「すみません~!誰かいませんか?」






はじめまして。私は宮本弥生です。


私は2ヶ月前、父と母を交通事故でなくしました。

父と母は一切の貯蓄をもっていませんでした。



昔からお金はなかったですが幸せに暮らしていました。

それなのに…

どうして…





唯一の家族ともいえるおじの家に住ませてもらい、アルバイトに明け暮れ、食べていくことに必死でした。


私が疲労で倒れてしまってから頻繁におじは私に夏川家の居候を提案してきました。



おじさんは一流商社で長年つとめるサラリーマンでしたから、ある程度のつてがありました。


アルバイトをしなくてもよく、生活の面倒をみてくれそうな家を探し回ってくれました。



本当に私をアルバイト漬けの毎日にしたくなく、安定のある生活をさせてあげたいと思ったのか


にわかに疑問でした。


やはり家庭のあるおじは私が邪魔だったにちがいないと思ってしまうのです。







そして、今



さすが一流商社のお偉い様と語るような建物に私は圧倒させられています。




古い大きな屋敷のドアを開けると、キィーという音が響きました。



「広っ」



シャンデリア、ソファ、置物…



生活感のないものたちがならんでいるのに、人の気配があまりないのです。



「すみませーん。誰かいませんかー?今日からお世話になります、宮本です。」




長い階段を上がり


長い廊下を歩き



一つのドアの前。



そのドアを開ける…


それが運命の扉になるとも知らずに…