剣道着で、服装は誤魔化せるものの、無一文。
あるのは、紅月霧無ぐらいだ。
売るわけにもいかないし、かといって野宿なんぞできない。
それよりこいつ、早くどかんか。
「すまない、早くどかないか」
……。
どかない。大丈夫か?こいつ。
「あの……」
仕方が無い。新撰組にでも送り届けるか。
「よいしょっ」
女が担ぐにしては重たいか。
引きずるか?
いや、そうなった場合途中で新撰組にあった場合、私の身に危険が及ぶ。
辺りが暗く染まっていく。
私も、宿屋を探さねばならんというのに……。
放っておけばよかった。
私はお人好しなのか。
第一……
「新撰組の屯所はどこだ?」
なぜか、このタイミングでそれに気づいた私。
どこに向かって歩いているのだ。
その時、ふと目に浅葱色の羽織りを着た人を見かけた。
「おーい!」
声をかけるも、聞こえていない。