「****……新撰組。……っ、沖田さん」


私も、沖田さんと同じ言葉を告げた。


沖田さんの悲しい笑顔が頭から離れない。


もう、会えないのかもしれない。


会ってももう、話もできないかもしれない。目すら合わせられないかもしれない。


こんなに、悲しいことだとは思わなかった。


沖田さんだけが、私の頭から、心から離れない。


どうしてかはわからない。


だが、忘れたくもない自分がいる。


でも、もうこれで、“さよなら”だ。


誰にも見られないように、島原をかけて、森の奥へと駆ける。


いつもなら、これくらい走っても平気なのに、すぐに息が切れた。


「ここに来れば、もう見つかることはないな」


昼に晴れていた空だが、星も月も輝いてはいなかった。


一面雲に覆われ、雨は降らないが、雷が鳴った。


それはまるで、何かの始まりを告げるようなものだった。


「あっけない別れだったな……誰がどう思っているのか、わからんぞ……」


呟いても、もちろんそれを聞くものはいなかった。


今日、私は新撰組と『さよなら』をした。