ある意味、戦いだ。


恥ずかしい……。


実際、着物をきたことがないわけではないし、むしろ着ていたほうだが。


これではまるで


「お、花魁っ……!」


鏡に映る何とも、愛想の悪そうな不細工な女。


着物だけは、一流のものを身につけている。


綺麗に刺繍された、赤い着物に、生まれてこのかた、したこともない化粧。


しかも、かなり白いぞ……。


いわゆるこれは、厚化粧というやつなのか。


身体中から冷や汗らしいものが出てきそうだ。


「綺麗やわー……」


遊女たちが、私の肩に手を添えて、鏡を覗き込む。


シャラン……


その勢いで、髪飾りやらが揺れる。


この時代にこんな繊細で綺麗なもの……高いのだろうか。


その瞬間、違う意味で緊張が走る。