(沖田side)


伸ばした手を、咄嗟に引き戻す。


その手は、何かを欲しがるように、もどかしいように空気を握りしめていた。


急にその行動が恥ずかしくなって僕は立ち上がる。


秋羽の顔、見れる気がしない。


それでも尚、震えるように空気をつかむそれを見て、何故か僕はもう一度秋羽を見た。


不思議そうに、真っ暗な瞳で僕を見つめていた。


真っ暗な中、その瞳を見つけられたのは、まだ拭いきれていない涙のせいだろう。


……それで、どうすればいいの?


向いた以上何か、何か……。


「あはは……」


相当気持ち悪い笑みを浮かべて、僕はやってしまったと数秒後に気づく。


変な奴、僕は僕をそう思わずにはいられなかった。


考えるより先に、勝手に、というには、もっとマシな事をしてほしかった。