(沖田side)


こっちが本命……。


人数も少ない、会津藩も来ない。


だけど、もう待ってはいられないね。


近藤さんに続いて、池田屋の中に入っていく。


「御用改である!新撰組だ!」


誰かが伝えたのか、全ての明かりが一瞬で消えた。


急に暗くなり、目が慣れるまでは空からの月明かりだけだ。


でも、暗くした君達の判断は間違いだ。


なぜなら、僕の方が強いのに、暗くなったら尚更僕の動き、見えないでしょ?


僕は、斬りかかってくる敵を斬っていく。


弱いね、相手にもならないし面白くない。


すぐに死んじゃうんだ。


その時、ふと思い出した。


死んだ男を前に、震える秋羽の姿を。


人なんて、どうせ死ぬのに何をあんなに……。


どうしてだか、あの時の秋羽の顔が、姿が、頭から離れない。


あの時、僕は気付けば秋羽に剣を向ける男を、考えるより先に殺していた。


何なんだよ……。


秋羽の事を思うと、なんだかむしゃくしゃする。


確かに、秋羽が来てからはご飯も美味しいし、いろんな隊士が今まで以上に笑ったけど……。


酒の付き合いは悪いのに、可愛い顔しても男なのに、秋羽はみんなに好かれる。


何かが大きな違和感となって、心臓をくすぐる。


「うっざいな!むしゃくしゃする!」


僕は剣を大きく振り回して、敵の体をえぐるように刻んでいく。