『ねぇ、お祖父様。トキワには不思議な力があるのー。それがねー、本に書いてあった紅月の力と一緒なのー!』


『それは、秋羽が紅月に愛されているからだよ。きっとそのうち、紅月霧無も使えるさ。人を斬るんじゃなくて、人の命の剣をな……紅月の、愛の剣を……』


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目覚めた私は、落ち着いていた。


特に震えることもなく、死んだ男の姿を思い出していた。


ここでは、あれが当たり前なのだ……。


入隊を喜んでいたくせに、これでは新撰組の足を引っ張るだけだ。


私は立ち上がり、井戸を目指した。


人が死ぬのも見られないと知られた今、私は誰よりも弱いと思われているはず。


恥ずかしい……。


こんな自分、恥じても恥きれん。


ーーーぱしゃ


水が冷たい。


今はもう5月の半ばを過ぎた。