夕日も沈み込んだ空の果て。


いつ頃から光っているのだろう……。


未来では見られないような満天の星空が、輝く。


そんな空の下。


「まぁまぁ、秋羽。そんなにしてたら戻らなくなるぞ?」


平助が、私の膨らんだ頬をつつく。


「うるさい……平助の馬鹿野郎」


「悪かったって」


初の巡察、荒手の浪士には会わなかったものの、特に巡察らしきものもしていない。


正しくは、巡察したところで何もなかったのだ。


だが、これが怒っている理由ではない。


私が、町娘の落し物を届けに行っている間、土地勘のない私をこいつは放って行ったのだ。


もちろんのこと迷子。


しかも、やっと屯所についてみれば、平助ただ一人が、私を探すこともなく近所のお婆さんに丁寧に道を教えていた。


「私が迷子になろうとどうでもいいのだろう?あ"?しかも、自分が迷子にさせた人は放って迷子のお婆さんに丁寧に道を教えるんだろう?平和でいいな、平助の頭は」


私が怒りに怒った後、意外にもショボくしょぼんとした平助に何も言えず、頬を膨らましている、今現在。


私が可愛いものに弱いのを知ってのことなのか……。


「まあまあ、今日は島原にでも連れてくから」


「女に興味などないのだ。反省しているなら……しているなら……どうしよう?」


私の意外な言葉に、平助はアニメのようにズッコケる。