「もう、歩けるのだ……」
私が言ってもそいつは、何も言わずに離さなかった。
そして、近藤さんを先頭に、一つの部屋に全員が入って行った。
入り切ると、私は座布団の上に降ろされた。
「あまり、詮索するのもよくないとは思うが、家がないとは何かあったのか?」
近藤さんが、私に投げかける。
それに合わせて、全員が私の方を向いた。
正直に答えよう……。
偽ったところで、どうにもならない。
「私は、未来から来たのだ……」
「「未来っ⁉︎」」
反応はあまり気にせず、私はただ頷く。
信じてもらえなくても、過剰に同情されようが、何でもいい。
話せば、少しは楽になれるだろう。
「私のこの刀……紅月霧無が原因だと思う……この刀は、私の遠い先祖が打った物だ」
私は、刀の鞘を抜いた。
見てみれば、一見なんの変哲もない刀だ。
「綺麗だね、その刀」
「うむ……」
沖田と、斎藤が興味を示した。
「この刀の鞘を抜いた時、私はこちらの時代に来た……だが、今のように、鞘を抜いても何も起きない」
「だからと言って、どうしてソイツを原因だと考える?」
土方が、言う。
「一つは、その瞬間、私は桃色の光に包まれて意識をなくしたこと。もう一つは、唯一、一緒に時を越えたもの。そして……」
これこそ、本当の理由だ。
「こいつは、紅月の魂が宿る妖刀だ」