このような夢を見るということは、心の片隅に父親の存在が引っ掛かっているという証拠。
それに気付いたシオンは、仕事の状況と日頃の生活について父親に話さないといけないと思いはじめる。
しかしそれはすぐというわけにはいかず、いつかいい日をみつけて行なう。
「その時、また――」
夢の中ではなく、面と向かって階級制度について語り合ってもいい。
5歳の時と違い多くを経験しているので、父親の意見に対し別の意見を言えるまでに成長していると自負していた。
それについて「まだまだ甘い」と言われそうでもないが、それもまた面白いとシオンは考えている。
次は、現実で。
囁くような小さい声音で呟いた後、シオンの視界が徐々に暗くなっていく。
これにより夢が途切れ、本格的な眠りの世界に誘われたのだろう。
先程のやり取りをもう少し聞いていたかったが、シオンは抗うことはせず深い眠りにつき、疲れている身体を休めるのだった。
◇◆◇◆◇◆
心地いい布団の温もりに包まれながら、安眠を貪っていたシオン。
その安眠を妨害したのは、携帯電話の着信音だった。
突然の着信音にシオンは飛び起きると、不機嫌たっぷりの表情を作りながら電話に出る。
着信の相手は友人のアイザックではなく、同僚の一人だった。
「何?」
『機嫌、悪いのか?』
「寝ていた」
『そ、それは悪かった』
「で、何?」
『ちょっと聞きたいことがあって……寝起きの状態で、いいか? 悪いようなら、また電話する』
「いや、構わない。急いでいるだろう?」
『当たり』
「しゃあ、いいよ」
『それじゃあ……』
同僚が尋ねてきたのは、大気浄化のプロジェクトに関わる内容だった。
現在、外界を覆う大気は人体に有害な物質が含まれているので、防護服なしで外に出るのは命を落すようなもの。
浄化にあたってその有害物質を除去しなければいけないのだが、思った以上に原子構造が複雑だった。


