そうか。

 それが、グレイの第一声。

 アムルからシオンとクローリアの関係を聞いたグレイは、考え事をしているのか沈黙を続ける。

「どう思う」

「私は、何とも……」

「最下層の者か」

「やはり、不都合でしょうか」

「いや、そういう意味ではない」

 グレイの話では、息子の相手となる女性の階級は拘らない。

 寧ろ互いを想い合い、理解し合える人物と出会ったのなら、その者と一緒になっていいとグレイは考える。

 だから息子がクローリアを選んだことに反対することなく、いい人物に出会えたことに喜びを覚えるという。

「それとシオン様から、頼まれたことがあります」

「頼み?」

「あの娘を養女にと……」

「なるほど」

「いかがいたしましょう」

「いいと思う」

「旦那様!」

「嫌なのか?」

「いえ、そのようなことは……」

 珍しくアムルが、言葉を詰まらす。

 アムルは、決してクローリアを嫌っているわけではない。

 それどころか、自分に本当の養女ができることに驚きを隠せないでいた。

 パーティーの時は一意的に養女となったが、パーティーが終了すればもとの関係に戻ってしまう。

 アムルは口には出さなかったが、そのことに寂しさを覚えていた。

 だから、今回のことは嬉しい――と、話す。

「それなら、迷うことはない」

「……旦那様」

「私も、喜ばしい」

 以前グレイは、アムルに娘がいれば息子の恋人にしたいと言っていた。

 まさかそれが現実となるとは――運命はどのように変わるかわからず、これによって二人が幸せになってほしいと願う。

 同時に息子が一生独身で過ごさないで済むと、グレイは苦笑しながらアムルに語る。