そしてはじまったのは、熱烈なアピール。
相変わらず、参加する女達の行動は一緒だった。
一方、シオンに引っ張られているクローリアは、無意識に周囲に視線を走らせる。
この場にいるのは高い階級の者で、参加者全員が美しく着飾っている。
経験したことのない独特の雰囲気にクローリアは飲み込まれていそうになってしまうが、何とか意識を集中し耐える。
「あれって……」
ふと、そのような言葉がクローリアの耳に届く。
同時に、シオンとクローリアに視線が集中する。
勿論シオンの耳にも同等の言葉が届き、一瞬顔を顰める。
この場所にいると何を言われるかわかったものではないので、シオンはクローリアを人目がつかない場所へ連れて行くことにした。
「大丈夫?」
「シオン様は……」
「平気だ」
「会場を出てしまって、宜しいのですか?」
「構わないよ。主催者じゃないし、こういう雰囲気は元々好きじゃない。立場上、仕方なく参加している」
「やっぱり、シオン様は下の生活を――」
「馬鹿騒ぎができるからね」
統治者が主催するパーティーで、本当に楽しんでいる者はごく一部。
それぞれが心の奥底に野心を抱き、欲する者を手に入れようと躍起になる。
そのひとつがアークに声を掛けている女達で、彼女達は玉の輿を狙っている。
そのように話すと、クローリアの顔が曇りだす。
「シオン様も……」
「あったよ」
「そうでしたか」
「あのような女は、嫌いだ」
「では、どのような方が……」
「自分を安売りしない人……かな。あとは、統治者一族ということは関係なく、俺自身を見てくれる人。だけどパーティーの参加者は、それを思える人物はいない。俺が将来継ぐ力しか……」
今まで余程嫌な思いをしてきたのか、シオンの言葉の端々に怒りのようなモノが見え隠れする。
そのことを感じ取ったのだろうクローリアは、シオンから視線を逸らす。
彼女の素直な反応にシオンは一言「すまない」と謝ると、会場に戻らず宇宙を見に行かないか誘う。


