アメット


 と、グレイは語る。

 勿論、クローリアも自分達が置かれている立場は理解している。

 理解しているが、このように面と向かって言われると、複雑な気持ちになってしまう。

 その結果、食事の手が止まる。

「クローリア?」

「す、すみません」

「いいよ。暗い話になってしまったのだから」

「い、いえ」

 最下層の住人から直接状況を聞いたことにより、グレイの心が痛みだす。

 知識では「最悪の場所」と理解していたが、まさかこれほどのものとは思ってもいなかったのだろう、グレイは早急に対策を練らないといけないと考えはじめる。

 同時に、クリアしないといけない問題も多い。

「……権力を使うか」

「父さん?」

「命令でなければ、言うことを聞かない」

「だけど、使うのは……」

「……好まない」

「なら――」

 息子の意見に、グレイは頭を振る。

 最下層が置かれている状況を改善するには、多少の無理をしないといけない。

 それに階級制度で縛られている世界、それを上手く使えばいいと話す。

 父親の意見にシオンは納得できない部分があったが、父親が権力を使うによってクローリアの仲間が暮らし易くなればいい。

 そう言い聞かせ納得すると、シオンは苦笑する。

「これでいいかな」

「あ、有難うございます」

 自分の意見を受け入れ、対策を取ってくれるとは思ってもみなかったのだろう、クローリアは何度も礼を言う。

 このように喜んでくれるのなら、権力を使っても悪くない。

 クローリアの態度を見てそのように受け取ったグレイは、クスっと笑う。

 その反応にシオンは「何か考えている」と、父親の心を読む。

「わかるか?」

 返された言葉にシオンは「やっぱり」と、心の中で呟いてしまう。

 これを切っ掛けに権力を行使してほしくないので、その点を注意していく。

 真剣に訴えてくる息子の言動にグレイは頭を振ると、他の統治者一族のような愚かなことはしないと言い、息子を安心させる。