「ひとつ聞いていいか?」
「統治者のことか?」
「それに近いけど……どうやって、上の階層に行くんだ? エレベーターの利用は、今の階級じゃ……」
「ああ、そのことか」
それについてシオンは「他言無用」と念を押した後、どのような方法を用いているのか話し出す。
これを利用できるのは統治者のみなので、一般のエレベーターを用いなくても上の階層へ行くことができる。
だが、その場所については流石にアイザックにも話すことができない。
それに対しアイザックは、素直に頷き返す。
世の中、知っていいことと悪いことがあることを知っているので、特に追及することはしない。
それどころか知ってしまったら物陰で消されるのではないかと危惧するが、その心配はしなくていいとアイザックを安心させた。
「そ、そうか」
「流石に、そこまで馬鹿じゃない。殺害なんてやってしまい、悪い評判が立つ方が怖いからね」
絶大なる権力を用いれば、邪魔者の一人二人簡単に消すことができる。
しかしそれを行うと、立場が危うくなってしまう。
それなら情報統制をしてしまえばいいが、どのような方法を用いても漏れる時は漏れてしまう。
それを知っているからこそ、彼等は殺害を行わない。
「という訳だ」
「なら、安心か」
「何かの間違いで狙われるようなことがあれば、俺が守ってやるよ。今は、父さんに頼まないといけないけど……」
「それでも嬉しい」
「まあ、そうならないのが一番だけどね」
「僕も、それを願うよ。で、エレベーターのことだけど、そのエレベーターを使って来たのか」
「いや、違うかもしれない」
「一般のエレベーターを利用とか?」
「そう」
「目立たないか?」
アイザックの指摘にシオンは「それを目的にしている」と、言い返す。
統治者一族の者が一般のエレベーターを用いれば、噂が広がっていく。
そうすればアークは目立ち、注目を浴びるだろう。
現にこの施設の科学者はアークを恭しく出迎え、持ち上げているのだから。


