「いいのか?」
「別に」
「時々、怖いと思う」
「何故?」
「正体を知られたくないと言いながら、あのように言うのだから。何と言うか、敵に回したくない」
「アイは、裏切らないよ」
「僕も、裏切ることはしない」
「有難う」
「しかし、気付かなかったな」
「変装しているからね。それにきちんとしている姿しか知らないから、気付かなかったのかもしれない」
もっときちんと観察していればアークもシオンの正体に気付いていたかもしれないが、そこまで頭が回らなかった。
それがシオンにとって幸いで、面倒なことに発展しないで済んだ。
その後、アークに小言を言われることなく、二人は自分達のペースで研究を進めることができた。
数時間後――
再び、周囲が慌ただしくなる。
「どうした?」
「帰るんだろう」
「ああ、あの方か」
「面倒な奴がいなくなって、清々したよ」
「凄い言い方だ」
「優しい方がいいか?」
「いやー、今の方がいい」
「だろう」
アイザックの発言に、シオンは満面の笑みを浮かべる。
しかしその笑顔も長く続くことなく、アークのことが気に掛かる。
彼は、どのようにしてこの場所にやって来たのか。
また、周囲に誰か警護の人がいたのだろう。
だが、アークは一人でそのような人物は見当たらない。
だとしたら、単独で来たのだろう。
アークの性格を考えれば、思い切った行動といっていい。
それだけ自分の名前を売りたく、セレイド家の者に何が何でも勝ちたいと考えている。
だからあのような行動を取って、周囲を驚かした。
と、シオンは考えアイザックに告げる。


