教室にはもうすでにたくさんの生徒が来ていた。
席は美咲とは少し離れていた。
ガァーーン。
まわりに話す人がいるわけでもないからすぐに美咲のところに行こうとした。
でも美咲もう近くの席の子と楽しそうに話している。
いーなー…美咲は社交的で…
あたしは自分から話しかける勇気すらないよ…
なんて思いながらしょぼんとして
その場に立ち尽くしていたら、美咲が気づいてくれて
「ゆーりーー!」
そう言って手を振ってきたけど…
人見知りのあたしには美咲のそばに行っても、話すことができないと思う。
「ごめん。ちょっとトイレ行ってくる。」
なんか逃げ出すように教室出てきちゃったけど、大丈夫かな…
トイレに来たのはいいけど、いつ戻ろうかな…
よし。美咲のところに行こっと。
ドンッ!
えっ?何?何が起きたの?
突然すぎて何が起きたかわからない。
「いってぇぇー。」
ん?なんかあたしの下から声がした。
なんだろう?
「ってえぇぇぇぇ!?」
すごくかっこいい男子があたしの下で寝てる!?
「えぇーって言ってないでさっさとどいてもらえる?それとも、俺のこと襲おうとしてる?笑」
「何言ってるんですか!?今すぐどきます。」
やっとわかった。あたしはトイレからでた瞬間この人にぶつかったんだ。
あたしがどこうとした瞬間、この人の細くて長い腕があたしに絡みついてきた。
「何してるんですか!?これじゃあ動けないです。」
「先に誘ってきたのはお前だろ?」
えぇぇ?何言ってるのこの人。
「誘ってなんかいません。早く放してください。誰かに見られたら恥ずかしいです。」
「放したくないなぁ。こんな可愛い子。」
かっかっ可愛い!?
あたしが!?
ホントにさっきっから何言ってるのかわかんない。
こんなかっこいい人に言われたら、冗談でも照れちゃうんですけど!!
「ってかさ、誰かに見られたらって、もう遅いんじゃね?」
「何でですか?」
「だってもうみんな俺らのことガン見してる。」
うそ!?この人に気を取られてて全然気付かなかった。
確かにみんなこっち見てる。
もうやだ。
恥ずかしすぎるよ…
「とにかく、放してください。」
「しょーがねぇな。今は放してやるよ。」
えっ?今はってなに!?
「メアド交換しよーぜ。そんでこの続きはまた今度。」
はっ?メアド?
こんな人に教えたら大変なことになりそう。
あたしが黙っていると…
「おっ!ケータイ発見!」
っと言ってあたしの制服のポケットからケータイを取って勝手に交換した。
「ちょっと!なにしてんの!」
「完了!ってかやっとタメ口になった。俺ら同級生なんだから敬語はなしで。」
あっ無意識に敬語使ってた。
まぁ知らない人だから当然か。
「わかりました。」
「ほら。また使ってんぞ。」
「あっ!すいま…ごめん!」
あちゃー。
「あははははは。お前おもしれーな。」
おもしろいってなによ。
何にもおもしろくないしっ。
「俺は神崎舜。お前は?」
「あ、あたしは野中由梨。」
「由梨か。よろしくなっ。」
いきなり呼び捨て!?
「神崎君。よろしくね。」