涙メモリーズ

7月ー。

太陽が眩しく、体が蒸発してしまうんじゃないかと言うほど、とにかく暑い。
暑さに堕落しながら、あたしは1人、窓側の席に座っていた。
教室には、数人の男女がいる。
皆、きゃっきゃと話で盛り上がっている。
アイドルの話や、テレビの事…。
聞きたくもない話題が耳に入ってきて、人差し指で机をコンコンと叩く。

ああ、うるさいなぁ。
何でこんなうるさい奴らと一緒に、補習を受けないといけないの?
せめて個別にしてほしい…。

「あのー黒原さん…」
ため息をつこうとした時、誰かがあたしの名前を呼んだ。
振り向くと、数人の女子がニコニコしながら、あたしを見ている。
「…何?」
少し眉を寄せ、女子達から目線をさける。
こんな場合は、だいたい予想がつく。
数人の女子が、1人の女子の席を囲む光景は、よく漫画でもある。

あたしをいじめる気?
それとも、何か企んでる?
…まあ、別にどうでもいいけど。
どうせあたしは、性格悪いし、ちゃんと自覚だってしてるし。

どうでもいいやと思い、ため息をついた。
すると、1人の女子が口を開いた。
「あの…そこの窓、開けてくれないかな?」
「………は?」
思わず女子達と、目線を合わせてしまった。
確かにあたしの席は窓側で、窓が開いてなかった。
しかし、あたしが考えていたことが違いすぎて、愕然とした。

何?
そんなことであたしに声をかけたわけ⁈
しかも、指図されたし…。

自分がバカらしくなり、しかも暑いせいか、さらにイライラしてくる。
「窓ぐらい自分で開けなさいよ。いちいち命令しないで」
そう言って、ふいっと女子達に背中を見せた。
「何よ…。人が頼んでるのに…」
あたしに声をかけた女子が、ボソッと言った。
すると、
「だから言ったじゃん。黒原さんには話しかけないほうがいいって」
「そうだよ。黒原さんは一匹狼なんだから」
「関わったら、面倒だよ」
後から次々とあたしの悪口を言う。

ほらやっぱり。
本当はあたしのことなんて、大嫌いなんでしょう?
なのに、なんでいちいち声をかけてくるか、理解できない。

小さく舌打ちをして、ぼんやり雲もない真っ青な空を窓から見上げた。