「オネーサン話わかるね!」

「一応私にも高校生の時代があったからね」

「なるほど。オネーサンいくつ?」

「むやみやたらに女性に年齢訊くもんじゃないよ、少年。いくつに見える?」

「むやみやたらに“いくつに見える?”って訊くもんじゃないよ、オネーサン」

「はははっ」


私たちは顔を見合わせて笑い合った。そこには奇妙な一体感が生まれている。

初対面で誰かとこんなに話したことなどない。ましてや年下の高校生とだなんて。

ごく自然な成り行きで変な方向へ物語は進んでゆくものらしい。電車の急停車から始まる物語。うん、悪くない。