私の両親は変なところに厳しい。煙草も酒も寛容なくせに、夜遊びや朝帰りにはうるさかった。その延長なのか、結婚するまでは実家で暮らせというのが掟だ。
実家を離れたくて勢いで結婚した姉の気持ちもわからなくはない。
「ウタって大学生?社会人?」
「元社会人」
「え、仕事辞めて旅に来たってこと」
「そうだけど」
「不良な大人だ」
紺はからかい半分に白い歯を見せた。上の前歯が曲がっているが、全体的には綺麗な歯並びだ。
「そうゆう紺も不良でしょうが」
「俺イイコだけどな」
「しかも見た目が普通なだけに、タチの悪い不良だよ。イイコは家出なんてしない」
「それもそうだね」
普通、長距離バスは高速を走るものじゃなかったっけ。なんてぼんやり考えた。乗ったことないから知らないけど、なんとなく、イメージ的に。
時間と場所が平行して変化してゆくと、自分自身を見失いそうになる。

