「キミは?どうすんの、学校さぼって。しかも乗り過ごしたんでしょ?」

「それは別にいいんだけど。知り合いのホストの家に押しかけようと思ってただけだし」


ほら、ホストって夜の仕事だから昼間は暇でしょ。少年はにいっと笑いながら言った。

こんなどこにでもいそうな少年なのに、知り合いにホストがいるのか。私は変なところに食いついてしまった。こんな平凡な高校生と派手な髪や服装のちゃらちゃらした男が横に並ぶのは、動物園に炊飯器が置いてあるくらいアンバランスだ。


「オネーサンは?どこ行くの?」

「適当。たどり着いた地で過ごすよ」

「つまり宛てがないんじゃん」


彼は揶揄の瞳で楽しそうに言い放った。人懐っこい笑み。短時間でここまで親しみを全面に出せるのは、例え演技だとしても、尊敬する。

私は昔から、嘘をついたり気を遣ったり建前を言ったりするのが苦手なんだ。