画面の向こう側の君に

時刻は7:00をまわったところ。


一斉に2年の私たちは立ち上がり、荷物を持ってグラウンドへとかける。



「お願いします」


小さくつぶやくようにグラウンドへ挨拶をし、いつもの場所にグローブを置く。


「ねえ、昨日さー」


先輩がいないのをいいことに輪を作り会話を始める。



9人しかいない2年のうちの7人はこうして用意をあまりしない。



そのくせ1年をこき使う。



「また、用意してくれないね」



「いつものことじゃん」



話しかけた相手、宮野香奈美と私だけが1年を手伝って用意する。



これもいつものことだ。


宮野と私はこんな風に、他7人と距離がある。


最近は慣れてきたが、なにかと理由をつけて、仲間に入れてくれないのは毎度のこととはいえ、辛い。


しかも、用意をしているので、出してないものがあると私と宮野が責められる。



「ちゃんと確認してって言ったじゃん!」


時期部長かとも謳われるこの人は熊倉花音。


だったら自分でやればよかっただろ…



言いはせずに頷く。



いや、いえないんだ。