画面の向こう側の君に



秋斗とやりとりを続けてしばらく経ったある日のこと。



中学から付き合っていた彼氏、長澤麗矢と大げんかをし、遂には別れることになった。


夕日が私の影を伸ばす、そんな時間、昼間の出来事を、中学からの心友、浜崎桃香に話している。


「なんかもう、ありえないんだよ!
あんなに好きって言っておいてなんなわけ!?」

「で、別れちゃったんだぁ…
酷いね、ほかの女の子とキスしてたなんてね。」

一人怒る私に、桃香は空を仰いでポツリと呟いた。


ふつふつと湧き上がる感情をどこにやればいいのだろう。


好きな時は許せた。

なんでも許せたのに、嫌いになると色々掘りおこされる。


その辺りから私は多分恋愛感情がなくなっちゃったんだと思う。


桃香はそんな私の話をいつまでも聞いてくれた。


桃香が同じ学校なら、きっと学校は楽しく感じるだろう。


桃香はリア友で一番の友達だと思う。


例のコミュを教えてくれたのも彼女だ。


「…帰ろっか、七瀬」


「うん、今日はありがとね」

手を振って分かれ、何気無くケータイを開いた。