カタカタ……


部屋にはキーボードを叩く音だけが響く。


私、神谷七瀬はネット社会に逃避して今日も生きている。



…なんて言ったら笑われるだろうが、ひとりぼっちの私にはここへ逃げることが精一杯の抵抗だ。


そう、ひとりぼっちの私には。




「通知が6件あります」




何も語りはしない画面の中の、顔の見えない誰か。



つまりは架空の世界の人間が、私の唯一相談できる相手だった。