拝啓 猫みたいな貴方へ
いつも余裕綽々で、人のことをすぐ馬鹿にして、人に期待ばっかりさせて、自由気ままで人を振り回して、誰にもなつかない貴方が"大嫌い"でした。
大嫌いな筈だったのに…、本気の本当に大嫌いな筈だったのに…。いつの間にか、目で追ってた。何してるのかな?とか、すごい綺麗にアタック決まるなぁとか、何バカなことしてんだろとか、私の頭の中が貴方、一色になった。大嫌いだから聞けた"好きな人誰?"って会話も今は出来ない。自分じゃない誰かを好きな貴方を近くで見ていたくないから。でも大嫌いだったときに聞いた君のタイプの子、今でも覚えてる。
"髪は長めで、世話焼きで、でもたまに意味のないことをやる可愛らしい子"
でも、私はこんな子じゃない。世話焼きでもなければ、可愛らしい子でもない。貴方はマニアック過ぎる。王道より非王道が好きって言うし、何より、
"俺からは告白しないよ?俺は相手に告白してもらえるように考える。接触がなければ話し掛けるし、俺のことを絶対に好きにさせる。つまり俺は策士ってことかな?"
たまにすっごく怖くなる。私の思いに気付いてるんじゃないかって不安で眠れなかったときもあった。でも貴方は普通に喋り掛けてくれる。いつもと変わらずなんの変鉄もなく。
最近は特定の子と仲が良いですよね?
2人とも可愛いもんね…。元気で明るくて、いじりがいのある子。もう1人は、女の子らしくておっとりしてて守ってあげたくなるタイプ。貴方が誰かと仲良くしていると、モヤモヤして胸が痛くなる。最近は私と貴方の間に会話はあまりないし、関わりもない。だからこの機械に諦めようと思った。でも…でも…!!! そんな簡単に諦められるならこんな辛い思いしてないって気付いたの。聞いた話では、もしその2人に告白されたらOKするそうですね?但し、自分からは告白しないとか…最低です。でも…私はどんなことがあっても貴方が…___。
手紙を書いてて思ったが、
「これはどうなんだろう?(笑)」
ギャグか!?って突っ込みたくもなったが、何だかんだで自分らしいとも思った。ここから私は、また新しく恋を始めればいい。その踏ん切りを今、着けたいのだ。
ただこの手紙を渡して、振られるだけ。そう、頭では理解してはいるもののやっぱり怖い。今はまだ彼が"好き"。その気持ちまで嘘はつけない。告白をOKしてもらえたらと期待もしている。でもやっぱり…彼と普通に話せなくなるのが一番"怖い"。
体育館から男子バレー部の面々が出てきた。その中には勿論彼も。皆、バイバーイと仲良さげに挨拶をしている。その光景を私はただ見ていた。
「あっ、見っけ!話って…何?」
彼が私に駆け寄ってくる。その様子を見た男子バレー部は、
「おっ!もしかして告白か?」
「部長ずりぃー。俺と付き合いません?」
「いや、俺で!!!」
と、からかいを入れてくる。私は顔をかぁーっと赤面させてしまう。そんな私の様子を見てか、
「ちげぇーよ。お前らはさっさと帰れ。今から大事な話するんだからな?な?」
「あっ、…うん///」
部員達は何かにハッと気付いたような顔をしてニヤニヤと顔を歪める。私は彼らがニヤニヤと顔を歪める意味が分からず、頭に?マークを浮かべていた。そして、何かに気づいた彼は、
「…明日の練習今日の練習、五倍増しな…、楽しみにしとけよ?」
「「「「「「「「絶対に嫌です!!! さようなら!!!」」」」」」」」
と凄い勢いで去っていった。
「末長くお幸せに~♪」
という言葉を残して…。
何故か2人して沈黙してしまう。なんか、気恥ずかしいというか、むず痒いというような感情に襲われる。そして、2人して笑い出す。理由はよくわからないけど…。しばし笑いあった後、彼は急に真顔になった。
「あの…さ?」
「なっ、何でしょう…。」
彼の緊張がこっちにまで伝わってくる


