拝啓 大切な貴方へ1


拝啓 変わり者な貴方へ

こんな風に先輩に手紙を書くのは初めてですよね?ちょっと緊張して文字が霞むかも知れませんが我慢して下さい。

先輩に初めて会った時は衝撃的でした。だって急に飛び出してきて人にぶつかってきたかと思うと人の顔見て、

『あら、ごめんなさい。とても愛らしい騎士(ナイト)さん?』

こんな変な台詞言い残してすぐ居なくなるんですから、はた迷惑な話ですよ。友達は『お前、なに綺麗な先輩にぶつかってんの?ずりぃ』とか『とても愛らしいだってさwwよかったなwww』とかめっちゃくちゃ馬鹿にされたんですよ!?先輩のせいで!!!まぁ、別にいいですけど、過ぎた事ですし?俺だって大人ですから。

先輩と出会ったことは俺にとっちゃ、最大に最悪で最高のものです。一緒にいて楽しかったこととか、苦労したこととか、先輩にあきれたこととか鮮明に思い返せます。散々先輩のこと言っておきながらなんですが、本当にありがとうございました。

先輩と一緒に過ごしていく時間のなかで先輩の良いところとか、先輩の弱点とか、先輩の可愛らしいところとか俺にしかわからない先輩の癖とか、先輩を独り占めした気分になっていましたが、ダメなんです。

俺はもっともっと先輩と一緒にいたいし、先輩に頼ってほしいし、先輩に俺のまえで笑顔でいてほしいし、俺が先輩のことを幸せにしたいんです。

俺は先輩のこと…___。

最近は図書室にいることがちょっとした楽しみになっていた。先輩と一緒に過ごせる時間が少ないからだ。元から本が好きだし、本に囲まれていると自然と落ち着く。今読んでいる長編の冒険記ももうすぐでクライマックスを向かえる。次はどのジャンルの本を読もうかと考えながら、ページをめくろうとしたとき、バーンと扉を勢いよく開ける騒々しい音が図書室内に響き渡る。俺の他に誰も利用していないし、さっき図書委員は先生に呼ばれたか何かで俺に鍵を預けて出ていってしまった。俺は、はた迷惑な行為を行った人物に薄々心当たりがついていた。だってこんなはた迷惑な行為を行う人を俺は一人しか知らない。
深呼吸し、彼女は息を整えながらこう叫んだ。
「私は!!!変わり者だし、行動とか言動とか意味不明だってすぐ言われるし、自覚もしてる。でも、下関と一緒にいたときは自分が普通の人と同じだって思えたし、すっごく楽しかった!!!その時思ったんだよ!!!下関じゃなきゃこんな思いにならないって、下関じゃなきゃ嫌だって、下関と一緒に居たいって思えたんだよ!!!」
俺は叫び終わり息が絶え絶えになった先輩にこう尋ねた。

「俺と…どうなりたいんですか?」

「しっ…下関って……意外とSだよね…?」

「じゃあ先輩はMですね?」

「…違うから!!!」

「というか、俺が居なかったらどうひするつもりだったんですか?ただの恥ずかしい人ですよ?」

「大丈夫だよ。どうせ私だからってことで済むし、ちゃんとここにいること知ってたし…。」

「何で知ってるんですか?」

「秘密です。」

「教えてください。」

「絶対に嫌です。」

「…まぁいいです。で、俺とどうなりたいんですか?」

「えっ!?…急に話変えないで!!!///」

「こっちが本題です。」

「そうだけど!!!心の準備ってものが!!!///」

「さっき恥ずかしげもなく叫んでたじゃないですか?」

「うるさい!!!」

「先輩の言葉でちゃんと教えてください。じゃないと俺、分かりません。」

「はぅぅぅ…。私は、下関と…こっ、こここここ恋人になりたいです…///」

さっき恥ずかしげもなく愛の告白を叫んでた先輩が"恋人"という言葉一つでこんなにも赤面して恥ずかしがってると思うととてもいとおしい。

"俺は先輩のこと……___。"

俺は先輩をそっと抱き寄せた。

「俺もです。好きです、大好きです。ずっと側にいてください。」

俺の思いの丈をぶつけると先輩は嬉しそうな声で、こう言った。

「私も"大好き"///」

俺はこれからもずっとこのいとおしい人の側でこの人のためだけに愛を囁こう。これからもこの先もずっと…___。