ガラ…






そしたら、ドアを開いた






「オイ、欲求不満野郎等。
んだから、女に逃げられんだよ」




その男の子は、見覚えのある人だった






「んだと!?」




「ふーん…。
俺に喧嘩を売ろうなんざ、100万年早ぇんだよ…!」




その人は、長い脚で、男の子の顎を、上へと蹴った






「逃げんぞ!」




「え……!」




その男の子は、あたしの腕を掴み出して、廊下に逃げた






「何なんだ…?」












「ね、待って…!
待ってっ、京君っ!
片瀬 京君でしょ?!」




「………………」




「あたしだよ、萌!
一瀬 萌だよ!!」




「…っせぇな…」




「え?」




「何が何だか判んねぇけど、馴れ馴れしく、俺の名前、言うな!
何が、『京君』だよ?!
ウゼェんだよ!
これ以上、馴れ馴れしかったら、ヤッかんな!!」




京君は、スタスタと歩き出して、廊下の果てに消えて行った






京君…………






昔は、あんなのじゃ、なかったのに






いつの間に、変っちゃったんだろ……?