「……もうやめよう。俺もお前も間違ってたんだよ」

「何言ってるの?あなた……」

「そうだろ?この絵……あの子をこんなに追い詰めた。俺は…お前も…」




あぁ、なこ。



今どこいんだよ。



お前にも見せてやりたいな、伝えたい。



お前を傷付けた奴がさ、泣いてんだよ。



お前の絵を見て、泣いてんだ。



後悔してる、お前を傷付けたこと。



なこ……



お前なら許すんだろうな、心が優しいなこなら。



でもきっとその心の中で、なんとも言えない感情と戦うんだよな、1人で。



抱きしめてやりたい。



幼くて、一人じゃ何もできないように見えるのに。



1人で抱え込むことだけは一人前にやってのけるんだろうな。



だからその抱えているものを俺に分けて欲しいな。



早く会いてぇ。



「……なこは、どこだ」

「台所の床下収納。その棚の下に地下室がある」

「そこにいるんだな⁉︎」

「……あぁ」



ようやく、ようやくだ。



「俺らを許してくれなんて言わねぇ」

「当たり前だ」

「あぁ。でも、1つだけ願いたい」

「なんだよ」

「あの子を……なこをお願いします」



当たり前だ。



もう傷つけない。



もう不安にさせない。



もう1人で泣かせないし、安心させてやるんだ。



「あぁ。最後に一つだけ聞いてもいいか?」

「なによ」

「なこを…お前らの娘を、少しでも愛していたか?」

「えぇ。だから引き取ったのよ」



どこで間違ったんだろうな。



きっと始めは愛してた。



どこで迷ってしまったんだろう。



どこでズレてしまったんだろう。