あの日、俺がなこを拾った日…。



なこは両親が居ない隙を狙って、家から飛び出した。



衝動的な行動で、何も考えずに逃げたらしい。



家から出るのは数年ぶり。



ずっと家の中から出してもらえず、季節も天気も無関係の生活を送っていたらしい。



だからあの日、薄着だったんだ…。



「なこ?話してくれてありがとな?」

「淳…なこのこと嫌いになる?」

「ならねぇよ。なるわけねぇだろ」

「なこ…戻りたくない。あの家に戻りたくない」

「ずっとココにいろよ。な?」

「淳…スキ」



わかってる。



なこのスキは、嫌いじゃない、のスキだろ?



今までひどい扱いをされてきて…。



たまたま出会った俺が、なこを拾って。



なこにとっては、俺が優しい神様にでも見えんだろ。



「さて、風呂入るぞ〜」

「うぅ…ヤダヤダ〜」

「シャワーもムリ?浴槽に入れとは言わねぇから」

「シャワー…顔に水かかるのイヤ」



だよな〜。



急に克服しろって言ってもムリだよな。



「淳…一緒入って?」



はぁ〜⁉︎



「ちょ、待て待てなこ‼︎いきなりどうした⁉︎」

「だって…淳と一緒なら、怖くない気がしたから」



やっぱりなこは、常識知らずかも…。