アキと私〜茜色の約束〜


そういえば秋人は笑うとき、こうやって
手で口元を隠すのが癖だったっけ。

この笑顔、凄く好きだったな…


「なぁ、茜。覚えてるか?高校入ったら三大大会制覇するって大口叩いてたあの頃」

「覚えてるよ」


忘れるわけがない。

アキと秋人と、私。
三人で夢を誓った、あの日を。

私は羨ましくて仕方がなかった。
三大大会制覇なんて、そこまでバスケの才能がない私には見れない夢を、見ることが出来る二人のことが。

バスケのことになると、二人の頭の中や視界に私はいなくて。
私だけ仲間外れにされてるような気分になったこともあった。

どうにか二人の中に入り込みたくて。
二人と少しでも同じ夢を見たくて。


『私は二人を声が枯れるまで応援する』


咄嗟に、そう口にしていた。