このドキドキの正体が何なのかわからない。
ただ苦しくて、胸がきゅっとして…
走ってる最中も、秋人の熱い瞳が頭から離れてくれない。
やめて、何処かに行って…
私の中から出て行ってよ。
私が好きなのは、アキ。
一緒にいたいのは、アキ。
なのに、なのに…っ
「ーーかねっ!おい!茜! 」
目を瞑って無我夢中で走っていると、突然後ろから手首を掴まれ足を止めた。
「あき…ひと」
全速力で走ったせいなのと、緊張で声が掠れる。
久しぶりに感じる秋人の手の温もりに、掴まれた手首が燃えるように熱い。
いつ振りだろうか、秋人の手に触れたのは。
多分小学校低学年の時、ミニバスの帰りに三人で手を繋いで帰った時以来だ。
あの時は、まだ大して私と変わらないぐらいの大きさだったのに。

