アキと私〜茜色の約束〜


この高校の体育館で。
インターハイや国体、ウィンターカップの舞台で。

二人の光るプレーが見たかった。

もう一度、2人のハイタッチする姿が見たかったんだ…


ピピーッと体育館中に笛の音が響き、我に返った。

いつの間にか流れていた涙を指で拭って、ぐすっと鼻を啜る。

ホント、涙脆くなって嫌になっちゃうな。
すぐ感傷に浸っちゃうのも悪い癖だ。


もう一度秋人に目をやる。


「っっ」


まだ肩で息をしている秋人と目が合い、咄嗟に壁に隠れた。

ただ一瞬目が合っただけなのに…
相手は大嫌いだったはずの秋人なのに…

心臓がドキドキうるさい。

なんなのよ、これ…

体育館からぞくぞくとバスケ部員が出てくる。

ちょうど休憩に入ったようだ。

ってことは、秋人もここに来る…
今、秋人と顔をあわせるのは到底無理。

私はその場から走って逃げた。