事故の日から、私の生活の中心はアキで。
弥生に遊びに誘われてもお見舞いに行くと言って断っていた私。
それをいつも理解して、何回断っても嫌な顔一つしない弥生。


「うん。私ね、アキの分まで笑って泣いて、沢山の経験をしようって思ったの」


アキのおじさんに言われた。
アキの分まで今を生きてほしいって。

残念だけど寝たままのアキには過ごせない“今”というこの時間。
青春真っ只中の高校生活。

本当はアキと秋人と三人で過ごしたかったけど…

私の心の中にいるアキと、色んな事を見て、聞いて、感じて。

今を生きる、って決めた。


「アキが起きた時、絶対聞かれるでしょ?茜は俺が眠ってた間、何やってたの?って」

「ふふ。確かに」

「そしたら私が経験した面白い話を沢山してあげるんだ。私から聞く話が暗い話ばかりじゃ、逆にアキに心配掛けちゃうでしょ」