アキがいないここになんの魅力も感じなくて。
それなら一人ぼっちでいいって思った。


「笑えてないだろう?この2年半もの間、ずっと」

「っっ」


事故から今までを思い返すと、毎日、茜空を見てアキを思っては涙を流す日々を過ごしてきた。

弥生といても、家族といても、アキに会いに来ても、ふとした時に事故の日のことを思い出してしまう。

私、いつから笑ってないんだろう。


「おじさんもおばさんも茜ちゃんには笑っていてほしいんだ。明希が体験出来ないことをして、明希の分まで今を生きてほしい」

「おじさん…そんな言い方…」


まるで、まるでアキがもう…
目を覚まさないみたいじゃない…

言葉が出てこない。
震える唇を噛み締めて、溢れそうなものを抑え込む。


「明希はね、茜ちゃんの笑顔が一番好きだったんだよ。だから、明希のためにも笑って?」