神様がどんな人か知らないけど。
私は神様のことが嫌い。
大っ嫌いだよ…
沈黙が流れる。
誰かの足音や話し声が廊下に反響して聞こえる。
私とおじさんの周りだけ、時間の流れが他と違うように感じる。
ややして、おじさんは遠い目をして切なげに笑った。
「ありがとう、茜ちゃん。そこまで明希を思ってくれて嬉しいよ」
その声は、微かに震えていて…
胸の奥がギュッとなった。
「確かに、おじさん達も何度も茜ちゃんと同じことを思ったよ。なんで明希なんだって。神様を恨んだ」
おじさんは手を組んで、指が手の甲に食い込むぐらいきつく握り締める。
「だけどね、良いこともあったんだ」
「良いこと?」
「明希が練習で忙しかったり、私が仕事で家を空けたり。中学に上がってからはなかなか家族三人の時間が持てなかったんだ。こんな形だけど、家族で過ごす時間が増えたんだよ」

