寝てるアキから返事なんて返ってくるわけがないのに、返事を待ってしまう馬鹿な私。
そして、いつものように返事が返って来ないことに胸が痛くなって落ち込むんだ。


「ねぇ、アキ…なんでアキがあそこにいないの?」


涙がぽたっと手に落ちる。

掠れる声、震える唇。
それを必死に抑え込み、鼻を啜る。


「お願いだよ…」


目を閉じたままのアキの鼻や腕、胸…
身体中に幾つもの管が繋がれていて、その先には点滴やら電子機器が並んでいる。

ここは総合病院の病室。
狭い個室には機器の他に、メッセージ入りのバスケットボールや写真が飾られている。


「一生のお願いだから、目を覚まして…」


声を聞かせて。
笑顔を見せて。

もう一度コートに立って背番号4を背負って、あの見惚れてしまうほど綺麗なスリーポイントシュートを決めてよ。

あの自信満々な顔で、ガッツポーズを見せてよ。


ねぇ、アキに会いたいよ…