スポーツ障害の中でも特に重い症状で、スポーツ選手なら選手生命にもかかわることがある怪我だ。

秋人の場合、あの事故で靭帯が切れて手術をしたらしいんだけど。
術後、本当は酷使してはいけない足を、この数年間騙し騙しで酷使し続け、インターハイの決勝戦を最後に、秋人の靭帯は限界を超えてしまったようだ。


「もう、前のようには走れないってさ」

「そっか…」


辛い現実だというのに、何処が清々しい表情の秋人。

この先ずっと走れなくなってしまったけど、秋人は全く後悔していないように見えた。


「お前は大丈夫か?」

「駄目…慰めてくれる?」


さっきアキの告別式が終わった。

決勝戦の日、アキは死んだ。
突然死だった。

数年眠り続けた患者に、稀にあることだという。