アキと私〜茜色の約束〜


ーーガッシャーン!


「秋人‼︎」


思わず、叫んでしまった。
それぐらい、激しい衝突音だった。

秋人は白線から出る前にボールをコート内に弾くと、そのまま相手チームのベンチに突っ込んだ。

ボールは副キャプテンに渡り、呆気にとられていたディフェンスを抜いてレイアップシュートを決めた。

会場が騒然となり、プレイヤーの動きも止まる。


「おい、大丈夫か?」


相手チームの監督と審判が秋人に声を掛けると、秋人は「大丈夫です」と起き上がった。

律儀にも、相手チームのベンチに「すみませんでした」と頭を下げる秋人の姿にホッとした。

どこも痛そうにしていないし、しっかりと歩けている。
事故で痛めた足も大丈夫そうだ。


秋人はコートに戻るとチームメイト一人一人の背中を、バシッと強く叩いて回る。