「俺にはライバルがいる。そいつは常に俺の前を走って、追い越してもすぐにまた抜き返されて、とにかくすげぇ奴だ。本当ならここにそいつが…アキが立つはずだった。俺は一度諦めかけたバスケの夢を、もう一度アキに見させてもらったんだ。おかげで、お前らに出会えた。ここまで来れたのはアキと、それから今まで一緒に頑張ってくれたお前らのおかげだ。本当に感謝してる。今日は全力で、最後の試合を楽しもう」


そう言うと、「行くぞ!ファイトーッ!」と声を張り上げる。
それに続いて、「おーっ!」と、全員で気合を入れると、静かになっていたうちの高校の応援団が一斉に盛り上がり始めた。

私は秋人の言葉が胸に響いて、言葉にならなくて。
試合前だというのに涙が溢れ出てきた。

「バカ秋人」と、目に浮かんだ涙を指で拭うと、ジャージを脱いで試合の準備を整えた秋人がふいにこちらを振り返った。