コートに最初に現れたのは、うちの高校の選手達だ。

秋人を先頭に続々と入場する選手達の顔は、決勝戦だというのに硬くならず、逆に生き生きとしているようにも見える。

ウォーミングアップ中も声はしっかりと出ていて、いつもの良い雰囲気だった。

秋人はというと、特に変わった様子はない。

この感じならいける!
多分うちの高校の応援団皆がそう思ったと思う。

ウォーミングアップを終え、チーム全員で円陣を組む。

顧問は一人一人の名前を呼ぶと、「今日までよく頑張ってきたな」と労いの声を掛けた。


「今日は思いっきり楽しんで来い!」


たったそれだけ。
だけど、選手達には顧問の気持ちが十分に伝わったんだと思う。

まだ試合前なのに、顧問のその言葉ですでに泣きそうな三年生も数人いたから。


顧問の話の後に、キャプテンとして秋人が話し始めた。