「茜?」
驚いた声に振り返ると、制服姿の秋人が少し離れた所で立ち止まっていた。
「秋人…どうしてここに?」
どうしてここに、ってここは地元なんだし、秋人がいたって何にもおかしくないんだけど。
突然のことで、上手い言葉が出てこなかった。
最近、秋人のことを考える時間が長くて。
秋人を見てると、なんだか落ち着かない。
心臓が鷲掴みにされるようにキュッと苦しくなる。
「なんか夕日が見たくて。茜は?」
「私も…隣り座れば?」
ああ、と秋人は私の隣りに腰を下ろすと、夕空を見上げた。
触れるか触れないかの、この数センチの距離が何だかくすぐったくて、少し恥ずかしい。
私も秋人につられて空を見上げる。
鳥が三匹、仲良く並んで空を飛んでいる。
トンボは追い駆けっこをしていて。
思い出す。
小学校の頃の私達を。

