「ごめんねなんて聞きたくないよ…」

「茜ちゃん…」

「おばさんはアキを見捨てたんだっ‼︎」


おばさんの目をしっかりと見据えて叫ぶと、一目散に走り出した。
その目が絶望に打ちひしがれてることにも気付かずに…


家から5分ほど走ったところにある土手に着くと、芝生に座り息を整える。

きらきら輝く川の水面。
ゆらゆら靡く草花。
そして、茜色に燃える空。

目を瞑ると思い出すのは、アキの照れ隠しの笑顔。


「アキ。おばさん達、引っ越しちゃうんだって。あの家…売っちゃうんだって」


さらら、とそよ風に髪が攫われ、それを耳に掛ける。

いつの間にか涙で滲んだ視界。
ぐすっと鼻をすすると、茜空を見つめる。


「私はずっと一緒だからね。一人になんてしないからね。絶対に」


この茜空に誓って、私はアキと共に生きていくことを約束する。