引っ越してきてから1週間近くが過ぎ、新しい通学路にも慣れた。今朝はいつもより早く目が覚めたから、いつもより早く家をでた。教室には1番のりで、と思っていた私のまえに、高崎君が座っていた。
「ああ、おはよう、お隣さん。はやいね。」そう話す高野君の机には、読みかけらしい厚い本が置いてあった。
「でも、そういう高崎君のほうが早いけどねー。」笑ってそう答えると、高崎君も笑顔になる。そういう、不意に見せる笑顔に、私はドキっとしてしまう。顔が赤くなっていないか、気づかれたりしないか、気になってしまう。