「じょおうさま! こっちにきて! すごいよ!」
「あら、なんですか?」
子供に連れられて行ってから数分後、リュティアは腕いっぱいに何かを抱えて戻ってきた。
「カイ! 見てください、カイ!!」
頬を上気させ、駆けてくるその様子はさっきの子どもと変わらない。
リュティアが腕いっぱいに抱えているのは、なんとたくさんの子猫だった。
白やぶちの子猫がミーミーと鳴き声をあげ互いにじゃれあっている。
「管理施設の中でこんなにたくさん生まれていたみたいです」
子猫をみつけて、何よりも一番にカイという若者のそばに駆けていく女王を見て、その全幅の信頼と愛情に気付かない者はいなかった。
二人のこんな様子を、多くの国民は好意的に受け止めた。
皆女王に幸せになってほしいと願うようになっていたからだ。その無邪気な笑顔を守りたいと願うようになっていたからだ。
女王は、特別賢くなかったかもしれない。だが明るく、気さくで、優しかった。
女王は、特別国を豊かにしてはくれていないかも知れない。だが民を想い、民と共に歩み、共にあろうとする人だった。
最初国民は奇跡の力ありきでリュティアを求めた。だが彼女の人となりを知るにつれ、一人の人間としてのリュティアに傾倒していった。
女王の素晴らしい噂はあちこちで轟いていた。
けがをした小鳥を救ったこと、練兵場に通い兵たちを励ましていること、宰相に頼み込んで政治の講義を受けていること、産所の整備に予算をかけようと奮闘していること。女王にお産を手伝ってもらい無事赤ちゃんを産むことができた妊婦が、「あなた様が女王陛下でいてくださって、よかった…」と言ったらみるみるうちに頬を染めた話。
ひとつの噂がもうひとつの噂を呼ぶ度に、人々はさもありなんとさらなる噂を口にする。
カイの愛を得て自然体でいられるようになったリュティアが、女王としても人々に愛されはじめたことは、リュティアにとっても王国にとっても幸福なことであった。
「あら、なんですか?」
子供に連れられて行ってから数分後、リュティアは腕いっぱいに何かを抱えて戻ってきた。
「カイ! 見てください、カイ!!」
頬を上気させ、駆けてくるその様子はさっきの子どもと変わらない。
リュティアが腕いっぱいに抱えているのは、なんとたくさんの子猫だった。
白やぶちの子猫がミーミーと鳴き声をあげ互いにじゃれあっている。
「管理施設の中でこんなにたくさん生まれていたみたいです」
子猫をみつけて、何よりも一番にカイという若者のそばに駆けていく女王を見て、その全幅の信頼と愛情に気付かない者はいなかった。
二人のこんな様子を、多くの国民は好意的に受け止めた。
皆女王に幸せになってほしいと願うようになっていたからだ。その無邪気な笑顔を守りたいと願うようになっていたからだ。
女王は、特別賢くなかったかもしれない。だが明るく、気さくで、優しかった。
女王は、特別国を豊かにしてはくれていないかも知れない。だが民を想い、民と共に歩み、共にあろうとする人だった。
最初国民は奇跡の力ありきでリュティアを求めた。だが彼女の人となりを知るにつれ、一人の人間としてのリュティアに傾倒していった。
女王の素晴らしい噂はあちこちで轟いていた。
けがをした小鳥を救ったこと、練兵場に通い兵たちを励ましていること、宰相に頼み込んで政治の講義を受けていること、産所の整備に予算をかけようと奮闘していること。女王にお産を手伝ってもらい無事赤ちゃんを産むことができた妊婦が、「あなた様が女王陛下でいてくださって、よかった…」と言ったらみるみるうちに頬を染めた話。
ひとつの噂がもうひとつの噂を呼ぶ度に、人々はさもありなんとさらなる噂を口にする。
カイの愛を得て自然体でいられるようになったリュティアが、女王としても人々に愛されはじめたことは、リュティアにとっても王国にとっても幸福なことであった。

