“世界の核 永久なる花園に 春の色宿し乙女誕生す

その姿 女神の現し身 その手 いかなる怪我をも癒す聖なる手

乙女を塵(ちり)とせしめるため 目覚めし魔月の軍勢 永久なる花園を 滅亡せしめる 

大戦は再び始まり、人の子ら 滅亡に瀕す

聖乙女、三つの虹の聖具まとい 永久なる花園にて王冠を戴く さすれば再び花園は永久となるであろう

その時聖なる力が世界を守るであろう

乙女の力極まりて 消えない虹かかる時 人の子ら救わるるであろう”


「この方こそ伝説の“聖乙女(リル・ファーレ)”にして、フローテュリア王国第一王女のリュティア・ティファリス・フローラル様である!」

その宣言は人々に衝撃を与えた。

―「聖乙女」「フローテュリア」「リュティア様」―口々に人々が囁き交わす中、大男はさらに言葉を重ねる。
その声は力強く、広場中を震わす。

「私の不治の病もこの方はたちどころに治してくださった! 
まさに奇跡の力の持ち主である! 
すでに伝説の通り三つの虹の聖具はこの方のもとにある。
あとはこの方が伝説の通り世界の中心で王位に就き、永久なる花園を永久とすれば、我々は救われる!」

おおっと驚嘆の声があがった。強く静かな熱が人々の間に伝播しはじめていた。今人々がもっとも求める希望が、そこにはあった。